旅の94日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
ゼインがセットアップした監視システムに変化が現れた。
封鎖区域のエネルギー反応が、わずかに上昇していた。
「……昨日までは安定していたのに、なぜ?」
ゼインがモニターを睨みながら呟く。エネルギー反応は微弱ではあるものの、確実に動きを見せている。これは単なる誤検知ではない。
「何かが起こっているのは確かね。」
エリスが慎重にデータを解析する。だが、今のところ変化の理由は分からない。ログを遡っても、封鎖された内部で何が起こっているのかは依然として不明だ。
艦長に報告が上がると、彼はしばらく考え込んだ後、最も慎重な選択をした。
「このまま監視を続けろ。変化が急激にならない限り、封鎖は維持する。」
その決定に誰も異論はなかった。僕たちは慎重すぎるくらいでちょうどいい状況にいる。
カイは「やっぱり中に何かいるんじゃないか?」と言ったが、ゼインは「生物的な反応はまだ検出されていない。ただ、何かが作動し始めている可能性はある」と返した。
封鎖区域にあるものは、本当にただの”遺物”なのか? それとも、”生きている”ものなのか?
ミラは植物ユニットの作業を終えた後、「あの扉、もしかしたら”開ける必要があった”んじゃないのかな」と言った。
「どういう意味だ?」
「もし封鎖したのが”私たちみたいな誰か”じゃなくて、”中の何か”自身だったとしたら?」
誰も答えられなかった。
夜、監視モニターを覗くと、エネルギー反応はわずかにもう一段階上昇していた。
今まで静かだった何かが、確実に動き始めている。
明日、さらに変化があるかもしれない。僕たちはその時、どんな選択をすることになるのだろうか?
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