旅の108日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日も封鎖区域に関するデータの整理を続けた。
エリスが昨日まとめた波形データをさらに細かく解析してみたが、やはり明確な意味を読み取るには情報が足りなかった。あの短い内部応答が、ただの機械の反射反応なのか、それとも何か意図を持った信号だったのか、判断できる材料がない。
ゼインとも少し話をした。封鎖システムに関しては、やはり未知の技術が使われている可能性が高いらしい。既存の人類の工学技術では説明できない配線の構造や、極めて高効率なエネルギー伝達方法が使われているとのことだった。
僕たちが手にしている情報はあまりに断片的だ。それでも、手を止めずにひとつずつ検証していくしかない。
今日は作業の合間に、船内の観察エリアにも立ち寄った。窓の向こうには無数の星々。何も語らず、ただそこに存在している。時々、こうして外を見ると、自分たちの存在の小ささを実感する。けれど、それが不安というより、静かな覚悟を与えてくれることもある。
ノア・アルカ号は今も静かに航行を続けている。僕たちもまた、この小さな世界の中で、できる限り前に進もうとしている。
明日も、変わらず。焦らず、丁寧に進めていきたい。
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