旅の112日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
午前中、ヴィクター艦長からブリーフィングがあった。ドローン調査で得た外殻断面の画像に、幾何学的なパターンが微かに浮かび上がっていると報告があり、今後の調査方針を再検討するという内容だった。
人工的な構造か、それとも自然の偶然か。判断は難しい。ただ、ゼインは「このパターン、まるでインターフェースのように見える」と言っていた。彼の勘は、意外と外れない。
午後、メンティスと短く話す機会があった。彼は、漂流船の存在そのものが「情報でできた生物構造ではないか」と言い出して、こちらの理解が追いつかないまま議論が進んだ。
彼の思考は常に抽象的で、時に詩的ですらあるが、不思議と否定する気にはならない。
ドローンはさらに奥へと進む予定だが、僕の中では一抹の不安もある。
この静寂の中に潜む何かが、ずっとこちらを見ているような感覚。
単なる思い過ごしであってくれればいい。
でも、念のためツールの整備をしておこうと思う。
何かが近づいている。そんな気がした一日だった。
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