旅の122日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は午前中からゼインとエリスの間で、漂流船の外殻構造について新たな議論があった。ドローンの高解像度スキャンにより、一部の外殻パネルに複層構造があることが確認された。表面下に、まるで二重の外壁のような層が存在している。
この内層が何のために設計されたのかは不明だが、単なる防護目的以上の意図がある可能性があるらしい。エリスは「情報格納構造のようにも見える」と仮説を立てている。もしそこに追加の記録装置が残っているなら、漂流船の出自に近づく大きな手がかりになるかもしれない。
直接内部に踏み込むのは時期尚早だが、ゼインはドローンの掘削ユニットを微調整して、慎重にサンプル採取を行う準備を始めている。
こうして少しずつだが、漂流船の沈黙の背後にある「何か」に近づいている実感がある。焦らず、冷静に積み重ねていくことの重要さを、今は強く感じている。
午後は植物ユニットで短くミラと話した。新しく育てている苗が安定して根付いたらしい。何も語らずに成長を続ける植物の姿には、不思議と励まされるものがある。
漂流船の静けさとは違う、生きた静寂がここにはある。
明日もまた、記録を重ねていく。
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