旅の125日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日の漂流船調査は、少し慎重さが求められる局面に入った。
ドローンが内層のさらに奥へ微細なスキャンを進めた結果、局所的な電位差の集中領域が複数検出された。簡単に言えば、極めて微弱ではあるが、特定箇所にエネルギーの偏りが残っているということだ。
ゼインは「封鎖当時のエネルギー残渣かもしれない」と冷静に分析していたが、エリスはむしろ意図的に保存された情報アクセス用の区画の可能性を指摘している。今後さらに掘り下げれば、何らかの主要記録領域に到達できるかもしれない。
一方で、艦長は慎重な姿勢を崩していない。漂流船が完全に安全だと証明できない限り、有人での内部進入は依然禁止のまま。現状では、それが正しい判断だと僕も思う。
静かな進展の裏で、少しずつ、中心へ近づいている感覚がある。
夕方、久しぶりに環境維持ユニット内をじっくり巡回した。植物も気圧調整も安定している。こうした「当たり前の維持」が続いているからこそ、私たちはこうして調査に集中できる。
明日もまた、慎重に進める。
小さな事実の積み重ねが、やがて核心に触れる日が来ることを信じて。
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