宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 126日目

旅の126日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

本日は、漂流船内部の電位差領域に対する追加スキャンが実施された。ゼインの調整により、ドローンの探査ユニットは極めて安定した軌道で奥部への接近を果たした。

スキャン結果は興味深いものだった。構造内部には、明確に幾何学的な配列パターンが存在していた。ランダムな損傷の痕跡とは異なり、意図的に設計された格納セル、あるいは情報保護層のような配置。

エリスはこれを「階層型記憶構造」と表現した。内部のナノ構造が単純に情報を蓄積しているのではなく、情報同士が相互に関係付けられ、秩序あるネットワークを形成している可能性があるとのこと。

もし仮説通りなら、漂流船は単なる記録装置ではなく、極めて高度な「情報生命体」に近い存在なのかもしれない。そう思うと、この静寂の中にも、まだ目覚めぬ”思考”の痕跡が眠っているような奇妙な感覚を覚えた。

とはいえ、現時点ではまだ解析は断片的だ。情報抽出の試みは今後の慎重な準備が必要になる。艦長の判断も慎重さを保ったままだ。

日常作業の帰り道、ミラの植物区画を通った。新しい発芽苗がいくつか育っていた。静かに、だが確実に命が広がる様子は、ここがどれだけ人工的な環境でも変わらない普遍の営みを思い出させてくれる。

未知のものに触れながらも、日常を維持し続けることの重みを、改めて感じた一日だった。

明日も慎重に歩を進める。

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