宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 131日目

旅の131日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

今日の解析作業で、さらにわずかな進展があった。

エリスが抽出された符号化データの中に、周期的な反復パターンを発見した。これは単なる記録列ではなく、恐らくは自己参照型のデータ構造である可能性が高まっている。情報そのものが自らの保存形式を補完するように設計されているらしい。

ゼインもこれを受け、処理系の計算モデルを修正。従来の直線的な復号ではなく、階層的な再帰処理を前提とした解析方法が必要になると考えている。私にはその技術的詳細をすべて理解できているわけではないが、情報というものの「作り方」そのものが我々とは根本的に違うように思える。

漂流船は、やはりただの難破船ではない。自己保存の意志に近い設計思想を持っている。その背後にあった存在が、どのような文明だったのか——その輪郭は依然として霧の中だ。

午後は艦長とも短く意見を交わした。現状では、想定よりも遥かに複雑な相手と向き合っている可能性が高まっているという認識を、彼も共有している。だが、艦長は「ここまでは冷静に来た。今後も同じだ」と静かに言った。その言葉に、救われる部分は大きい。

夜は短時間、植物区画へ。ミラは新しい培養液の実験を進めていた。育つ命の姿は、情報とは違うが、同じく静かな秩序を感じさせる。

未知の記憶と向き合いながらも、船内は静かに日常を保っている。
明日もまた、次の断片を積み重ねる。

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