宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 132日目

旅の132日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

本日も引き続き、漂流船中枢データの解析が進められた。

エリスが見つけた自己参照パターンをもとに、より高密度な断片抽出が開始され、ついに断片的ではあるが映像データの痕跡が検出された。現時点ではまだ正確な映像として再生できる状態ではなく、僅かな光量変化や構造データに近いが、記録媒体が静止情報のみならず視覚情報も内包していたことが確かになった。

これは初めて、漂流船の設計者たちの「具体的な痕跡」に触れる可能性が出てきた瞬間だった。もし完全に復元できれば、彼らの姿や環境、あるいは目的を直接知ることができるかもしれない。

ゼインは慎重に再構成用の復号アルゴリズムを調整している。映像とはいえ、我々の映像技術とは形式が大きく異なり、光波長や配列が非人類型の認識体系を前提にしているようだ。やはり、技術体系の根本が異なっている。

艦長もこの報告を受け、今後の解析班の体制を若干拡充する方針を決めた。次の段階に進んでいる実感が、船内全体に静かに広がりつつある。

今日のように「発見そのもの」が記録できる日は少ない。だが、それだけに、この断片は貴重だ。

作業の後、短時間だけ植物区画へ。ミラは水流制御ユニットの微調整をしていた。植物の葉はわずかに大きく、色濃く育っている。ここには確かな時間の流れがある。

漂流船の中にもまた、記憶の中で止まった別の時間が静かに眠っている。
明日もまた、慎重にその扉を少しずつ開いていく。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ガドグのアバター ガドグ サブスク見直しライター

キン肉マンと特撮を愛する怪人。
よくchatGPTで遊んでいます。
1児の父という顔も持つ。

コメント

コメントする

目次