旅の135日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
大きな進展があった一日だった。
ゼインが準備していた高精度スキャンが完了し、漂流船内の局所エネルギー異常領域の解析が行われた。その結果、物理的な壁面裏に隠された空間構造が存在することが確認された。
外層マッピング時には確認できなかったが、エネルギー遮断層と反射材の組み合わせによって通常のセンサーには映らない設計だったようだ。小規模な独立区画であり、構造的には別系統の素材が使われている。
これが意図的に隠されていたのは間違いない。情報格納とは異なる設計思想が感じられる。艦長もゼインも慎重な対応を崩しておらず、まずはドローンによる慎重な探査が優先されることになった。有人侵入は当然まだ許可されていない。
これまでの解析で「すべてが見えているわけではない」と感じていたが、その予感はやはり正しかった。漂流船はまだ何かを隠している。もしかすると、私たちが最も知りたかったことが、その奥にあるのかもしれない。
夜、作業後に少しだけ植物区画へ。何かが「開かれた」日に、こうして変わらない生命の姿を目にすることは、不思議と心を落ち着けてくれる。
明日からの調査はさらに慎重さが求められるだろう。
未知の扉は、ひとつずつ確実に。
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