旅の137日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は、未知区画のさらなる調査を行った。
慎重に進めていたおかげで、大きなトラブルは起きなかったが、やはり内部構造は複雑で、一筋縄ではいかない。
特に興味深かったのは、奥のほうにあった「階層構造の中空室」。
まるで観察室のような構造で、中心には円形のプラットフォーム、周囲にはパネル状の構造体が並んでいた。ゼインは「かつて何らかの生体をモニタリングしていた空間ではないか」と推測していた。
確証はないが、漂流船がただの無人航行体ではなく、観測や制御の役割を持っていた可能性が強まってきた。
さらに、壁面の一部には読み取れない記号のようなものも確認された。エリスは、過去の言語パターンと照合しているが、すぐには解読できないらしい。
…言葉にできない感覚だが、この漂流船には「意志」のようなものを感じる。単なる物体ではなく、何かを託そうとしていた、そんな印象を受ける。
その後、久しぶりにライラの元を訪れて、健康チェックを受けた。心拍も血圧も問題なし。
「調査に集中しすぎて疲れてない?」とやさしく聞かれ、思わず笑ってしまった。気を張っているつもりはなかったけど、少しだけ肩の力が抜けた気がする。
夜はエリスと短く会話を交わした。彼女の目もまた、何かに向かっているようだった。
明日もきっと、何かが見つかる。そんな予感がある。
焦らず、一歩ずつ進もう。
コメント