宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 147日目

旅の147日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

今日、ゼインが設計した小型解析ユニットが、ついに漂流船の球体中枢部に投入された。遠隔操作で慎重に接近し、表面に直接触れることなく、非接触型の高感度スキャニングを開始。中枢構造の詳細な断面データが、断続的ながら取得され始めている。

結論から言えば、これまでのすべての「常識」が揺らぐような構造だった。
その中には中空の構造が複数層あり、中心にはリング状に並ぶ高密度の物質群。物理的には「記録媒体」と呼べるかもしれないが、それが単なるストレージなのか、演算構造なのか、あるいは「意識の容れ物」なのかはまだ判断がつかない。

エリスが言った。「これは“記憶そのもの”ではなく、“記憶を読むための目”かもしれない」。
この球体が“誰か”の記憶を読む装置だとすれば――あるいはこの船そのものが、記憶を保存し、運搬するための容器だったとすれば――この漂流船の存在意義も変わってくる。

それに、今日になって明らかになった別の点もある。
模様のように見えていたあの浮かび上がる幾何学パターンには、繰り返し現れる“形”がある。周期、間隔、変調。すべての画像データを比較した結果、ゼインとエリスが「これは情報であり、言語体系の一種である可能性がある」と判断した。

パターンは記号ではなく、波形そのものが意味を持っているらしい。
音ではなく光。だが、確かに「何かを伝えようとしている」。

今はまだ理解できない。だが、その向こうに「意志」があるような気がする。

僕は今日のスキャンデータを何度も見返しながら、自分でも不思議なくらい静かな気持ちでこの日記を書いている。この船は壊れていたわけじゃない。ただ、ずっと何かを待っていたんだ。
それが「僕たち」なのかどうかはわからない。でも――近い気がする。

明日、解析ユニットのデータをさらに深掘りする。
もし、この“中枢”が何かを話しかけてきたら――その声を、正しく受け止められるようにしたい。

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