宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 149日目

旅の149日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

球体内部の反応が確認されてから、船内の空気が少し変わった気がする。緊張というより、ある種の敬意のようなもの。未知の存在と対話を試みる――それは僕たち人類にとって、技術的な挑戦であると同時に、倫理的な問いでもある。

エリスは昨夜も遅くまで残っていた。光信号とパターン変化の相関を手作業で比較しながら、仮説をいくつか立てていた。彼女の集中力と持久力には、いつも感心する。言葉は少ないけれど、芯にある情熱は強い。

ゼインは、念のためエネルギー遮断装置を設置していた。彼なりの慎重さだろう。応答があったということは、それが何らかの外的刺激に反応する能力を持っている証明でもある。それが安全かどうかはまだわからない。

今日行ったのは、「入力と反応」の再現テストだ。昨日と同じ波長の光を一定間隔で照射し、球体内の構造変化をモニタリングする。
反応はあった。ただし、昨日とは違う。今回は、光を当てるごとにわずかに異なるパターンが浮かび上がった。パターンには周期性があり、まるで“言語”のようだった。

思わず息を呑んだ。
もしこれが「返答」だとしたら? それは単なる反射行動ではなく、意思あるやりとりの可能性を意味する。僕たちは宇宙の深淵で、いま、誰かの声を聞こうとしているのかもしれない。

僕個人としては、これは記録装置――それも、かつて存在した文明の意識を“封じた”ものではないかと考えている。
記憶を記録する容器、もしくは精神的な“種子”のようなもの。現段階では憶測の域を出ないけど、少なくともこれは、単なる機械の残骸ではない。

明日、さらなる解析が行われる予定だ。ゼインも「そろそろ内部にアプローチしてもいい頃かもしれない」と言っていた。
緊張はある。でも、僕は進みたい。この球体の奥に、僕たちの知らない歴史や、あるいは未来の可能性が眠っているのなら――触れてみたいと思うんだ。

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