宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 152日目

旅の152日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

今日は、球体内部の中枢領域への初めての接触調査を実施した。
ドローンではなく、物理的なセンサーを内壁に接触させ、構造的な応答を直接測定するという試み。もちろん、慎重に段階を踏んで。エリスの提案で、まずは圧力と熱の反応をミリ単位で確認し、万が一にも球体が防衛的な反応を示した場合に備えてゼインがリアルタイムで遮断制御を行った。

結果、驚くべきことにコアから微弱な変化が生じた。
それは振動でも電磁反応でもなく、「波紋」に近いエネルギーの揺らぎ。表現するなら、石を投げ入れた水面に広がるような、静かで秩序ある反応。おそらく意図的なものだ。

この反応は、センサーが送信した信号に対して「何か」が応じたもの――つまり、対話のようなものだと、僕は感じている。
エリスも同じ意見だったが、彼女はもっと慎重だった。「これは、私たちの存在そのものに反応している可能性がある」と。

今日は午後に、その波紋のデータを徹底的に解析した。構造が単純ではなく、複雑な周期と層を持っていて、ただの機械信号では説明がつかない。もしかしたら、これは記憶ではなく、意識の断片かもしれない。

もしそうだとしたら……僕たちは今、「死んだ文明の脳」に触れていることになる。
あるいは、その断末魔。
静かに、長く、孤独に、宇宙を漂いながら守られていた意識の核。

夕方、船内の共有スペースでゼインがぽつりと呟いた。
「この船が誰かの“墓”なら……俺たち、無断で立ち入ってるよな」

僕もその言葉が胸に刺さった。でも同時に、ただの墓ではない気もしている。誰かがこの記録を“未来に届ける”ために、漂流という選択をしたとすれば――それは遺棄ではなく、希望の行動だったのかもしれない。

明日は、応答波形のパターンを解析し、音や光に変換してみる予定だ。
言語ではないにしても、何かしらの意味のある表現に変換できる可能性がある。

たとえ返答がなくても、僕たちは語りかけてみたいと思う。
この宇宙のどこかで、誰かが残した「声」に。

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