旅の160日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は、昨日の応答パターンについて解析班で意見交換を行った。
光や音の変換に加え、磁場の応答まで含めてみると、単なる反射ではなく「規則性をもったやり取り」として説明できる部分が増えてきている。
僕が興味深いと感じたのは、応答のリズムに「休符」のような間が存在することだ。無意味な沈黙ではなく、意図的に空白を挟んでいるように見える。もしこれが意志の表れだとすれば、相手は“返答を待っている”のかもしれない。
会議の結論は、拙速な応答は避け、まずはパターンをより正確に理解すること。その上で、安全性を確認した後に「単純な返答」を試みるというものだった。
言葉より前に、拍子や呼吸のような信号であれば、互いに理解できる可能性がある。
午後は作業を切り上げて植物区画を歩いた。ここ数日の緊張が続いたせいか、緑の中で深呼吸すると、胸の奥がゆっくりと軽くなるのを感じた。自然と呼吸のリズムに意識が向いたのは、もしかすると調査の影響かもしれない。
明日からは、応答の「休符」を中心にデータを解析する予定だ。
こちらからの最初の“挨拶”が近づいているのかもしれない。
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