旅の172日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日も一日、これまでの応答ログを整理する作業に追われた。
数列の応答が単なる模倣から少しずつ変化していることは明らかだが、それをどう解釈するかはまだ確定できない。記録を一覧化すると、最初は「真似る」だけだったのが、今は必ず「一歩先」を提示するようになっている。
それは「次を示す」意図なのか、あるいは単純に系列を続けているだけなのか。
その境界を見極めるためには、こちらからもう一度「確かめる問い」を投げかける必要があるだろう。
整理作業の合間にふと考えた。僕たち人類が太古に数を生み出したのは、世界を測り、秩序を与えるためだった。もしこの球体が同じように数を使っているのなら、そこには「測ろうとする意思」があるのかもしれない。
夜、自室で簡単なスケッチを描いた。数列の応答を線で繋ぎ、リズムとして並べてみると、不思議な模様が浮かび上がった。規則の中に揺らぎがあり、揺らぎの中にまた規則がある。まるで呼吸と鼓動が織りなす生命のリズムのようだった。
明日は、この整理結果をもとに次の「問い」を設計する。
こちらから差し出す一手が、相手にどう映るのか――その重みを感じながら、慎重に準備を進めたい。
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