旅の187日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は観測室で長い時間を過ごした。ケースの中の男の反応はさらに強まり、脳波は明確な「覚醒サイクル」を示していた。短時間ではあるが、波形が急激に変化し、意識の浮上を思わせる兆候があった。
胸の上下もよりはっきりと観測され、呼吸のリズムは人間の安静時そのものに近づいている。
並行して解析した球体の信号は、これまで以上に特徴的だった。周期の一部が、彼の脳波の変化と完全に同期している瞬間が確認されたのだ。まるで、ケースの中の彼の状態をそのまま外へ伝えているかのようだった。
この発見により、僕たちの間では「球体はただの記録媒体ではなく、彼の意識や生命活動と直結している」という仮説が強まった。
日が暮れるころ、記録を整理していて気づいた。これまでの数列やリズムのやり取りは、もしかすると「彼の目覚めを助けるための段階」だったのではないかと。僕たちの送った信号が、無意識下の彼に届き、何らかの刺激になっていたのかもしれない。
明日、彼がさらに大きな反応を示す可能性は高い。
この数日間の緊張と期待が、いよいよ頂点に近づいているのを感じる。
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