宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 192日目

旅の192日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

今日、ケースの中の男はさらに大きな動きを見せた。
午後の観測で、彼の指が明確に曲がり、しばらくの間そのまま震えていた。呼吸のリズムも強まり、脳波は覚醒状態に近い複雑な波形を描いていた。もはや「眠っている」とは言えない段階に入ったのだと思う。

球体の信号も同調するように活発化し、休止と光のリズムが交互に繰り返された。まるでこちらに「待て」と告げているようにも感じられた。数列の延長ではなく、意図のある抑揚――それをどう解釈するかが、今後の課題になるだろう。

船内は緊張で張り詰めていたが、同時に静かな期待感もあった。誰もがその瞬間を見届けようとしている。僕自身も観測ログを眺めながら、胸の鼓動が速くなるのを抑えられなかった。

明日、彼が目を開けるかもしれない。
その瞬間は、ノア・アルカ号にとって、そして人類にとって、新しい章の始まりになるだろう。

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