宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 198日目

旅の198日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

ケースの中の男は、今日も意識の兆しを強めている。午前の観測では、短い発声が三度記録され、その音程やリズムが昨日よりもはっきりとしていた。まだ意味を理解できるものではないが、単なる生理反応の域を超えているのは確かだ。

球体の信号も同時に明滅し、これまでよりも長いパターンを伴っていた。解析班は、この光の揺らぎが彼の発声と“対”をなす構造になっていることを突き止めつつある。もしそうなら、これは彼が外界と接触するために設計されたシステムなのだろう。

船内は依然として張り詰めた空気だが、どこかに静かな期待が漂っている。僕もログを見返しながら、ここ数か月の調査や信号解析がすべて“この瞬間”のためだったのだと感じた。
彼が次に発する声が、意味ある言葉として届く日――それはもう遠くないはずだ。

明日はさらに発声パターンを解析する予定だ。
彼がどんな世界から来たのか、そして何を伝えようとしているのか、少しずつ輪郭が見えてきている気がする。

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