宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 199日目

旅の199日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

ケースの中の男は、ついに「言葉らしきもの」を二度続けて発した。発声はまだ断片的だが、音の高さや間の取り方が明確で、昨日までの不規則な声とは違う。解析班は、その音列に規則性を見つけ始めている。もしかすると単語のような意味単位が含まれているのかもしれない。

球体も同時に長い光のパターンを発し、休止を挟んで短い明滅を繰り返した。男の声の後に必ず反応していることから、これまで以上に強い連動があることは確実だ。僕たちは今、声と光の両方を使った“対話”の入り口に立っているのだと思う。

船内では緊張が続いているが、同時に希望の空気もある。これまでの長い調査と信号解析が、この瞬間のために積み重なっていたように感じられる。僕自身もログを見返しながら、その音列を何度も再生した。意味はまだ分からない。でも、聞くたびに“何か”が伝わってくる感覚がある。

明日からは、発声のパターンを詳細に解析し、こちらから返す信号を調整する予定だ。
彼がどんな世界から来て、何を伝えようとしているのか――その輪郭が、ほんのわずかに見え始めた気がする。

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