宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 205日目

旅の205日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

今日も彼の発声を観測した。昨日記録された「アビス」に近い音列は、今日も繰り返し現れた。しかもその頻度は増し、声の抑揚もよりはっきりとしたものになっていた。偶然ではなく、彼自身が意図して発していることはもう間違いないだろう。

僕たちは試しに、その音列に近いリズムの信号を球体へ送ってみた。すると球体が明確な応答を返し、直後に彼が再び同じ音を発した。やはり、声と球体、そして僕たちの信号は一体のものとして機能している。彼の「名」は、すでにこの通信体系の中に組み込まれているようだ。

船内でも、彼のことを自然と「アビス」と呼ぶようになった。名前が生まれると、存在がぐっと近くなる。不思議なことに、未知への恐れは少しずつ薄れ、代わりに“対話したい”という感情が強くなっている。

夜、自室で記録を見返したとき、ふと考えた。
彼が「アビス」と名乗るのではなく、僕たちにその名を“思い出させている”のだとしたら――?
この出会いは偶然ではなく、ずっと前から仕組まれていた出来事なのかもしれない。

明日はさらに踏み込んだ信号を送り、アビスとの接触を深める予定だ。
ここから先は、未知との対話そのものが、僕たちの航海の中心になっていくだろう。

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