宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 208日目

旅の208日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

今日、僕たちはついに「アビス」という名を彼に投げかけてみた。音声信号と文字パターンの両方で送信し、その反応を観察する。結果は、予想以上に明確なものだった。彼は短い間を置いたのち、自らも同じ発音に近い音を返したのだ。まだ完全に一致しているとは言えないが、明らかに“それ”が自分を指すものだと理解しているように見える。

この瞬間を境に、船内の空気が変わった気がする。ただの「漂流船から見つかった未知の存在」ではなく、対話の可能性を持つ存在として、アビスが僕たちの世界に踏み込み始めたのだ。
まだ意識が完全に戻っているわけではないが、反応は日に日に複雑になっている。光のパターンもより繊細になり、信号の周波数も微妙に変化している。彼の内部で、何かが目覚め始めているのだろう。

今日は長い会議もなく、分析班も休息をとったので、僕自身も少しだけ肩の力を抜く時間をつくった。これから先のことを考えると、不安と同時に不思議な期待感が湧いてくる。この宇宙のどこかで生まれた存在と、こうして言葉の橋をかけられるかもしれないという事実が、僕たちの航海の意味をより深くしている気がする。

――そして、今夜の晩ごはんは久しぶりに海藻ベースの温スープに、合成穀物パン。特別なご馳走ではないけれど、長い一日の終わりにじんわりと心を落ち着けてくれる味だった。

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