宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 238日目

旅の238日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

セリナが肉眼でもはっきり確認できるほど近づいてきた。
観測窓から見えるその光は、冷たい青と緑の中間のような色をしている。遠くからでも、その星がただの岩塊ではなく、大気と水を抱いた“生きている星”であることが分かる。

今日、着陸候補地の選定が正式に始まった。
表層データによれば、赤道付近に比較的安定した気圧帯が存在し、そこが最有力とされている。
だが同時に、極域付近には周期的な磁気嵐の痕跡があり、通信障害を引き起こす恐れがあるらしい。
あの異常な磁場――どこか、アビスの球体から検出された波形と似ている。

アビスは今日も無言のままだったが、セリナの映像を見せた瞬間、
球体の光が静かに点滅を始めた。
その周期は、惑星の自転と完全に一致している。
偶然ではない。
まるで彼が、星の鼓動に合わせて呼吸しているようだった。

夜、観測窓の前で少し長く座っていた。
あの星の表面に立てたら、どんな空の色が見えるだろうか。
そして、アビスはそこに何を見るのだろう。

明日は、降下シミュレーションと磁場環境の詳細解析を行う。
セリナが僕たちの“目的地”なのか、それとも“誰かの記憶”なのか――
それが少しずつ明らかになっていく気がする。

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ガドグのアバター ガドグ サブスク見直しライター

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