宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 244日目

旅の244日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

惑星セリナまでの距離は、航路上で残りおよそ二十日。
船内では、着陸に向けた準備が本格化している。
今回の降下では、惑星ゼオフォスでの教訓がすべての基盤になっている。
あのとき、僕たちは“未知の環境を甘く見た”。
無人偵察ポッドが破壊され、地表の生態に対応しきれなかった。
それ以来、調査手順は細分化され、どんな小さな異常も無視されなくなった。

セリナではまず、軌道上からの長期観測を行い、
電磁・放射・大気の全データを二重構造で解析する。
初期降下は小型ポッド三機のみ。
そのうち一機には、有機汚染を検出するための新型センサーが搭載されている。
バイオ・ヒューマンズのチームは、植物種や菌類の可能性を想定し、
適応装備の素材をすでに調整中だ。

アビスは今日も静かだったが、セリナの映像を見た瞬間、
球体が一度だけ短く光った。
それはまるで、何かを確認するような、静かな頷きに見えた。
彼の記憶に残る星とセリナが似ている――それが、反応の理由だと分かっていても、
この光景には何か“運命的なもの”を感じてしまう。

夜、観測窓の向こうに見えるセリナは、もう光点ではなかった。
淡い青緑の縁が、ゆっくりと呼吸するように輝いている。
この星が僕たちの希望であることを、願わずにはいられない。

明日は、降下ポッドの最終整備と環境シミュレーションが行われる。
ゼオフォスの轍を踏まぬよう、慎重に――だが確実に前へ進む。

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よくchatGPTで遊んでいます。
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