宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 251日目

旅の251日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

セリナまでの距離は、航路上で残りおよそ十三日。
今日は大きな作業はなく、船内全体がゆっくりとした空気に包まれていた。
こういう日があると、長い航海の緊張が少しだけほどける。

環境維持ユニットのデータを午前中にひと通り見直したが、
目立った異常はなし。
むしろ、ミラが管理している植物が想定より酸素生成量をわずかに上回っていて、
船内の空気がいつもより少し“柔らかい”気がした。
植物が調子いいと、僕もなんとなく安心する。

アビスは今日、船内の共有ラウンジで静かに過ごしていた。
テーブルの上の光源パネルに手をかざし、
ゆらぎのパターンが変わるのをじっと観察していた。
彼の中で、感覚と記憶が少しずつ繋がっていく過程を見ているようだった。
まだ言葉は多くないが、表情が柔らかくなってきた気がする。

セリナの環境データは恒星活動による変動が増えてきているが、
危険域には達していない。
大気の揺らぎを示すグラフを眺めながら、
「どうか静かな星であってほしい」と心の中で何度も繰り返していた。

今日は早めに休むつもりだ。
明日からまた、降下計画の細部を詰める作業が続く。
気を引き締めて臨まなければならない。

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ガドグのアバター ガドグ サブスク見直しライター

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よくchatGPTで遊んでいます。
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