宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 253日目

旅の253日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

セリナまでの距離は、航路上で残りおよそ十一日。
恒星光の反射の揺らぎが、船体の影に細かい波紋のような影を作りはじめた。
毎日同じ景色のようで、少しずつ違っている。宇宙は本当に静かで、そして変化に満ちている。

今日は大気分析装置の再校正を行った。
セリナの大気データに合わせたフィルター調整は時間がかかるが、
焦るより正確さを優先したい。
特に酸素濃度の揺れ幅を見誤ると、
初日の船外活動に影響する可能性がある。

アビスは観測窓の前に座っていた。
船内の光よりも外の星々の光に惹かれているようだ。
視線の先にはセリナではなく、もっと遠くの暗い星群。
彼の心の奥にある“何か”を感じる瞬間だった。
記憶はまだ戻らないが、落ち着きは取り戻してきている。

船内は相変わらず静かで、整った生活リズムが続いている。
ただ、誰もが緊張感を抱えつつ、
それでも前へ進むための準備を淡々とこなしている。
こういう空気が旅の終盤なんだと、改めて実感した。

今日は少し早めに日記を閉じる。
明日は環境ユニットの酸素循環ライン全体の動作確認。
丁寧に積み重ねていくしかない。

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ガドグのアバター ガドグ サブスク見直しライター

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よくchatGPTで遊んでいます。
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