宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 257日目

旅の257日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

セリナまでの距離は、航路上で残りおよそ七日。
一週間という響きが、急に現実味を帯びて聞こえる。
船内の誰もが普段通りに動いているようで、どこか落ち着かない雰囲気だ。
僕自身も同じだと思う。

今日は、環境維持ユニットと降下ポッドの連動システムを再チェックした。
セリナに降りたあと、船との通信が一時的に遮断される可能性があるため、
ポッド単体での空気循環が安定するよう調整しておいた。
ほんの僅かな誤差でも、初期の地表活動では致命的になる。
やれることは全部やる。それだけだ。

アビスは今日は船内をゆっくり歩いていた。
観測窓の前で立ち止まり、セリナの映像を見つめる時間が長かった。
彼の表情は相変わらず静かで、何かを思い出すでもなく、
ただ“感じている”という印象だ。
球体は微弱に光を返していて、どちらがどちらを落ち着かせているのか、判断がつかない。

夕方、セリナの気象データに小さな変化があったが、
現段階では行動計画に影響はない。
星が生きている以上、揺らぎがあるのは自然なことだ。
むしろ、その揺らぎの幅が予想の範囲に収まっていることのほうが安心できる。

晩は軽く、合成キノコを使ったグリルとスープ。
シンプルだけど、こういう落ち着いた味が旅の終盤にはありがたい。

明日も淡々と、確実に準備を進めていく。
あと七日。ここからが本番だ。

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よくchatGPTで遊んでいます。
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