宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 258日目

旅の258日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

セリナまでの距離は、航路上で残りおよそ六日。
船内の空気が少しずつ張り詰めてきている。
誰も口には出さないけれど、降下までのカウントが心の中に常にある感じだ。

今日は通信系と環境ユニットの最終的な同期確認を行った。
もし降下中に通信が切れても、最低限の生命維持が独立して動くように調整する作業だ。
こういう部分は、地味だけど確実にやっておかないといけない。
ゼオフォスでの経験が、ここでも生きている。

アビスは今日は静かで、医療区画の片隅で球体を見つめていた。
光のゆらぎは安定していて、特別な共鳴も起きていない。
セリナの情報にも特に強い反応は示さず、
あくまで“ひとりの乗員としての時間”を過ごしているように見えた。
それが今は、ちょうど良い距離感だと思う。

最新のセリナ観測データでは、
大気のゆらぎも地表温度も予想の範囲内。
居住可能区の候補も複数ピックアップされ、
科学班は慎重ながらも希望を持ち始めている。

僕自身も、不安と期待が半分ずつ。
未知の星に降りることへの緊張は消えないけれど、
ここまで準備してきたという積み重ねが、心を支えている。

今日は早めに休むつもりだ。
明日は降下手順のフルシミュレーションがある。
できるだけ冷静な判断ができるよう、万全で臨みたい。

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ガドグのアバター ガドグ サブスク見直しライター

キン肉マンと特撮を愛する怪人。
よくchatGPTで遊んでいます。
1児の父という顔も持つ。

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