宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 265日目

旅の265日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

今日は先行ドローンの二次降下を実施した。
セリナの大気は安定しており、粒子濃度・酸素比率ともに安全圏内。
地表付近の風速も低く、機体の揺れはほとんどなかった。
映像には広く平坦な地形と、わずかな植生のような模様が映り込んでいたが、
まだ生物学的反応とは判断できない。

ただ、船内の方針として、
「しっかりと安全を確認できるまで有人調査は行わない」
という線は全員一致で固まっている。
焦って踏み出した一歩が、後の何百年を左右することを、
僕たちはすでに痛いほど知っている。
ゼオフォスの記憶は、まだ体に残っている。

今日のドローンは、地表サンプルを一部採取して戻ってきた。
土壌の初期分析では、未知の鉱物反応があるものの、
有害性は現段階では低いと推測されている。
ただ、この“推測”という部分こそ注意しなければならない。
詳しい分析には最低でも三日は必要だろう。

アビスは今日、終始静かで、
医療班による日常チェックでも特に変化なし。
セリナの映像にも興味は示さず、
淡々とした時間を過ごしていた。
それが今の僕たちにとってちょうどいい。
調査は科学で進めるべきだ。

晩にケイトが作ってくれたスープを飲みながら、
「急がなくていい」という思いが自然と湧いた。
星は逃げない。
だから僕たちも、逃げるように急ぐ必要はないのだと思う。

明日は土壌と大気の微細分析が始まる。
時間をかけて、確実に安全を確かめていく。

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ガドグのアバター ガドグ サブスク見直しライター

キン肉マンと特撮を愛する怪人。
よくchatGPTで遊んでいます。
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