宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 269日目

旅の269日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年

今日は、大気の最終安全評価に向けた総合チェックを進めた。
セリナの大気はこれまでの調査と同じく安定していて、
酸素濃度、微粒子の性質、温度変動の幅――
どれも人類が活動する上で大きな問題はなさそうだ。
それでも、判断を急がないことだけは徹底している。
「安全そうだ」ではなく、「安全である」と言い切れるまで慎重に積み重ねる必要がある。

微粒子の光反応については、今日の追加データでほぼ性質が特定できた。
どうやら大気中の成分と光が反応して生まれる自然現象で、
人体への害は認められない。
長期滞在を前提にすると多少の慣れが必要だが、
危険因子ではないと判断できるのは大きい。

アビスは今日、船内の小さな共有スペースで静かに座っていた。
観測窓の向こうの星々を眺めているだけで、
セリナについて特別な反応はなし。
医療班の報告でも、彼の状態は安定しているとのこと。
完全に“別軸の存在”として落ち着いていて、
調査に影響を与えない距離感が保たれているのはありがたい。

夕方、セリナの地表映像を眺めながら、
この星に初めて降り立つ瞬間のことを想像した。
期待と緊張が混ざり合った、不思議な静けさ。
ゼオフォスの件が頭をよぎるが、
その経験があるからこそ今の慎重さがある。

晩はケイトが作ってくれた温かい根菜スープ。
慎重さと希望が入り混じる今の心には、ちょうどよかった。

明日は土壌サンプルの深層分析。
星を理解するには、まだいくつか確かめたいことがある。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ガドグのアバター ガドグ サブスク見直しライター

キン肉マンと特撮を愛する怪人。
よくchatGPTで遊んでいます。
1児の父という顔も持つ。

コメント

コメントする

目次