旅の275日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は、回収されたドローンデータの詳細解析に一日中かかりきりだった。
セリナの地形データは驚くほど均一で、特に降下候補地の一帯は起伏が少なく、着陸の際に問題となる要素が極端に少ない。
安全性という意味では申し分ないはずなのに、なぜだろう、胸の奥のどこかが静かにざわつく。
大気組成も再確認したが、微量成分まで前回と完全に一致している。
自然界では“揺らぎ”が当たり前なのに、セリナにはそれがほとんどない。
これは偶然なのか、あるいは長い時間をかけた結果なのか。
どちらにせよ、簡単には答えが出ない。
降下ポッドの最終調整にも立ち会った。
生命維持装置の補助回線がわずかにノイズを拾っていたが、ゼインが短時間で解決した。
技術の塊みたいな人だが、作業後に少し肩を回していたところを見ると、彼なりに緊張しているのかもしれない。
アビスは今日も落ち着いていた。
訓練エリアをゆっくり歩きながら、手すりの素材を指で探るように触れていたらしい。
彼の行動はまだ理解しきれないけれど、セリナと結びつけて考える必要はない。
少なくとも今のところは。
夕食はケイトの作ったホットパックの根菜粥。
調査続きの一日だったので、こういう優しい食事がありがたい。
明日は降下候補地の最終選定に入る。
この船を降りる日が近づいている実感が、少しずつ重みを増してきた。



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