旅の277日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は降下装備の最終点検に一日を費やした。
外骨格スーツの密閉チェック、気圧調整装置の動作検証、地表での通信遅延のシミュレーション……。
どれも問題はなかったが、「問題がない」という結果ほど慎重に扱うべきだと感じている。
あまりに何もかもうまく行きすぎていて、セリナそのものの“静けさ”と同じ質の不自然さを覚える。
とはいえ、準備が整っていくのは確かだ。
降下ポッドに座り、起動手順を確認しながら、自分が本当にこの星へ足を踏み入れるのだという
実感がじわじわ湧いてくる。
期待というより、誰も知らない場所へ入っていく時の、淡い緊張のような感覚だ。
ミラは植物ユニットで、セリナ調査用のサンプル保護ケースを入念にチェックしていた。
彼女の動きは落ち着いていて、それが妙に安心感を与えてくれた。
僕たちは皆、ゼオフォスの経験から学んでいる。
アビスは今日は静かに読書をしていた。
図書ユニットの端末で、古い地球の植物データを眺めていたらしい。
特に発言はなく、表情が大きく変わるわけでもないが、“何かを吸収している”ような雰囲気だった。
夕食はケイトが用意してくれた簡単な炒め物。
セリナ降下を前に、少し胃が固くなっている自分に気づく。
明日は降下手順の最終確認。
初めての一歩を踏み出すまで、あとわずかだ。



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