旅の303日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は、当面の方針がはっきりと共有された。地球からの補充が整うまでの間、ノア・アルカ号の全乗員がセリナで生活しながら環境整備を進める。定住と探索を分けるのは、まだ先の話だ。今は全員で、この星を「使える状態」にすることが優先されている。
居住ブロックの一部を切り離し、地表の仮設居住区として利用する案も具体的に検討に入った。船の一部を星に残すという判断は軽いものではないが、初期拠点としては最も現実的だと思う。ノア・アルカ号が、この星に痕跡を残す最初の形になる。
地球との通信も始まっている。往復には時間がかかり、こちらの送信から返答までにはどうしても間が空く。それでも、補充人員と設備を段階的に送る方向で話は進んでいる。セリナから地球までは直線で約二百日。その距離を考えれば、今決めることと、数百日後に届くものとを同時に扱わなければならない。
地表では、居住予定地周辺の整地と電力系統の仮設が始まった。大きな変化ではないが、人が暮らす前段階として必要な作業だ。セリナは相変わらず静かで、こちらの動きに何の反応も示さない。
夕食は簡易調理の温かい食事だった。全員で同じ場所に集まるのは久しぶりで、作業の話題が自然と多くなった。
ここからしばらくは、待ちながら整える時間になる。星を育てる作業と、遠い地球からの応答を待つ時間。その両方を同時に進めるのが、今の僕たちの役割だと思う。



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