旅の308日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日はゼインと作業する時間が長かった。居住ブロック切り離し後の電力系統を想定し、地表と船の双方で運用できる構成を確認していた。彼の設計は相変わらず無駄がなく、想定外が起きた場合の逃げ道もきちんと残されている。ゼオフォスの経験が、彼の判断をより慎重なものにしているのだと思う。
ゼインは多くを語らないが、作業の優先順位には明確な意思がある。効率よりも冗長性を取り、短期の利便性よりも長期の安定を選ぶ。その選択は、セリナでの生活を考える上でも重要だ。ここに残る人たちにとって、見えない部分が壊れないことが何よりの安全になる。
探索継続の話題に触れたときも、彼は否定も肯定もしなかった。ただ、船が動き続ける前提で設計を組み替える必要があると言った。それだけで十分だった。彼は立場よりも条件を見る人間だ。
夕方、仮設電源が安定稼働に入った。大きな達成感はないが、数字が静かに揃っていく様子は信頼できる。ゼインがいる限り、基盤は崩れないだろう。
夕食は簡単な保存食だった。彼はいつも通り、味よりも作業後の数値を気にしていた。
ゼインは、この星に残るにしても、次へ進むにしても、変わらず同じ仕事をする。その姿勢そのものが、今の状況を支えている。



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