旅の332日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は居住ブロック切り離しに向けた作業が、本格的な工程に入った。
もともとこの船は、将来的な分離運用を想定して設計されている。その想定が、いま現実の手順として動き始めている。
内部の独立電源系統と循環系の再確認が行われた。
分離後も単体での生活維持が可能なよう、冗長回路の動作試験が繰り返されている。
理論上は問題ないが、実際に船から切り離すとなれば、確認の重みは違う。ここでの判断が、今後の生活圏の基礎になる。
外では接続部周辺の点検が進められていた。
メカ・ヒューマンズが中心となり、外装の状態と固定構造のチェックを行っている。
地表に根を下ろすための準備が、静かに形を取り始めている。
この作業は単なる設備調整ではない。この星に「滞在する」から「暮らす」へ移行する最初の工程だと感じる。
まだ宣言されたわけではないが、流れは確実にその方向へ向かっている。
夕食は簡素な温食。今日は少しだけ、味を感じながら食べる余裕があった。
船が星に一部を残す。その決断が、数値や手順ではなく、現実の作業として進み始めている。
セリナは仮の拠点から生活の場へと静かに変わりつつある。



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