旅の351日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は地下水採取設備の定期点検を行った。
流量は安定しており、水質にも大きな変化はない。採取量と消費量のバランスも計画通りだ。
拠点としての基盤は、少なくとも現時点では十分に機能している。
数値を確認するたびに、ここで生活できるという現実が少しずつ重みを持ってくる。
植物区画では新芽の状態を再度観察した。
急激な成長はないが、葉の色と厚みは昨日とほぼ同じだ。
環境への適応がゆっくり進んでいるのか、それとも単に維持されているだけなのか、まだ判断はつかない。
ただ、枯れていないという事実だけでも、この星の環境を理解する上では大きな意味がある。
ノア・アルカ号本体では、次の航行に向けた整備が進んでいる。
こちらの拠点から見上げると、船体は静かに地平線の向こうに浮かんでいるように見える。
あの船はやがてここを離れ、また未知の星へ向かう。その時、僕もその中にいるはずだ。
地球との通信は今日も新しいものは届かなかった。
時間差を考えれば不自然ではないが、返答を待つ時間はいつも少し長く感じる。
夕食は温かいスープと保存穀物。
作業のあとだったせいか、今日は少し味をはっきり感じた。
セリナは今日も変わらず静かだ。
この静けさの中で、人類の新しい拠点が少しずつ形を整えている。
ここは終着点ではないが、確かに人類が宇宙に残した一つの足場なのだと思う。



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