旅の358日目 – 日記
地球歴2482年、星間暦元年
今日は拠点の周辺を少し歩いた。
外部設備の点検が主な目的だったが作業が終わったあと、少しだけ遠回りをして戻ることにした。
セリナの地面は相変わらず平坦で、遠くまで同じ色の景色が続いている。
音もほとんどない。自分の足音だけが、かすかに聞こえる。
拠点から少し離れた場所で立ち止まり、振り返ってみた。
そこには人類の拠点がある。大きな都市でも基地でもない。
小さな居住ブロックが一つ、地面の上に静かに置かれているだけだ。
それでも、この星にとっては初めての人工の構造物だ。
地下水設備と植物区画の状態は今日も安定していた。
新芽はほんの少しだけ伸びているように見える。
ミラはそれを見て、静かに記録を続けていた。
夕食はケイトの作った簡単な温食。今日は少しだけ笑い声が多かった気がする。
宇宙の中で見れば、この拠点はほとんど何もないような存在だ。
それでも、ここに人が立ち、歩き、食事をしている。
その事実だけで、この星はもう完全な無人の世界ではなくなったのだと思う。



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