乗船日記– tag –
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宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 211日目
旅の211日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日もアビスとのやり取りが続いたが、彼の記憶は依然として霧の中にある。問いかけに対して反応はするものの、内容に一貫性がなく、自分がどこから来たのか、なぜこの船にいたのかについては何も語れないよう... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 210日目
旅の210日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日、アビスは再び声を発した。断片的な音の列がいくつか記録されたが、いずれも意味のある単語には聞こえなかった。まるで言葉そのものを“探している”ような、不安定な響きだった。解析班の仮説では、アビス... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 209日目
旅の209日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 「アビス」という名が定着してから、船内での呼び方にも少しずつ変化が現れている。今ではほとんどの乗員が、彼を“それ”ではなく“彼”として語るようになった。名前を持つということは、単なる対象ではなく存在... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 208日目
旅の208日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日、僕たちはついに「アビス」という名を彼に投げかけてみた。音声信号と文字パターンの両方で送信し、その反応を観察する。結果は、予想以上に明確なものだった。彼は短い間を置いたのち、自らも同じ発音に... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 207日目
旅の207日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日も「アビス」とのやり取りを続けた。昨日よりもはっきりと、自分を示すような音を繰り返し発し、声の強さにもわずかな変化があった。僕たちが送った複雑な信号にも即座に反応し、まるで内容を“理解”したか... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 206日目
旅の206日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 「アビス」という音列は、今日も明確に発せられた。昨日よりもはっきりと、そして意図を持ったような抑揚で繰り返されている。単なる自己の名を示しているだけでなく、まるで“応答を求めている”ようにも聞こえ... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 205日目
旅の205日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日も彼の発声を観測した。昨日記録された「アビス」に近い音列は、今日も繰り返し現れた。しかもその頻度は増し、声の抑揚もよりはっきりとしたものになっていた。偶然ではなく、彼自身が意図して発している... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 204日目
旅の204日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日、彼は初めて“自分を示すような音”を発した。これまでの断片的な発声とは違い、明確な抑揚と繰り返しを持つ、特定の音の列――それは「アビス」に近い響きを持っていた。もちろん、僕たちの言語とは異なる発... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 203日目
旅の203日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日の観測で、彼は初めて自発的に声を発した。こちらから信号を送っていない状態で、短く、低い音を三度。明確なパターンを伴っており、解析班はそれを「呼びかけ」と判断した。音の周期は昨日までの応答パタ... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 202日目
旅の202日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日も観測室にいた。彼の反応は昨日よりも明確で、信号を送るたびにわずかながら声の抑揚が変化するのが分かった。単なる模倣ではなく、こちらの呼びかけを理解しようとしている。言葉ではなく、意図そのもの... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 201日目
旅の201日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日、僕たちはついに「応答」を送った。彼が発した言葉と、球体の光のパターンを解析して導き出した共通の周期――それを再現する形で信号を送り返したのだ。ほんの数秒の送信だったが、船内の空気は息をするこ... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 200日目
旅の200日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日、彼の声ははっきりと「言葉」になった。それは僕たちのどの言語にも当てはまらない音だったが、音節の間に意味のような抑揚があった。録音を何度も再生すると、確かに呼びかけのような響きがある。単なる...
