乗船日記– tag –
-
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 233日目
旅の233日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日、解析班が「カナトゥル」という音声データを座標系に照合したところ、興味深い一致が見つかった。既存の航行記録の中に、かつて観測だけ行われた未登録領域――星雲の縁に近い区域に、発音が類似する「KAN-... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 232日目
旅の232日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 「言語的図形」を視覚化してアビスに提示した。その瞬間、彼の表情が明確に変わった。驚き、そして理解――そんな感情が一瞬にして浮かび、彼は静かに手を伸ばし、ホログラムの中に指先を差し入れた。 触れたわ... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 231日目
旅の231日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 E-7との再通信実験を行った。昨日の干渉を踏まえ、エネルギー出力を抑制した状態で試みたが、結果は予想以上に安定していた。ノア・アルカ号の計器への影響はほぼなく、アビスとE-7の間で双方向の通信が成立し... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 230日目
旅の230日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 E-7区画との通信実験を実施した。予想以上の結果だった。アビスの発した信号――通称「Abyss Code」を入力すると、漂流船側から応答があったのだ。音ではなく、光だった。E-7中央部の構造体がゆっくりと明滅を始... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 229日目
旅の229日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 E-7区画の再現データを解析していくうちに、奇妙な一致を見つけた。構造の一部に、明らかに生体的な要素が混在している。金属と有機組織が融合したような構造体――それは、メカ・ヒューマンズがかつて開発を試... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 228日目
旅の228日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 区画E-7の構造を再現して提示した瞬間、アビスの反応は明確だった。彼はその映像を見つめたまま立ち上がり、ゆっくりと手を伸ばした。これまで座ったまま微動だにしなかった彼が、はじめて“意志”をもって動い... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 227日目
旅の227日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 アビスの反応が、明確な“方向”を持ち始めた。漂流船の構造を再現したシミュレーション映像を提示した際、彼は特定の区画が映るたびに強い反応を示した。それは、これまでほとんど注目してこなかった閉鎖空間――... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 226日目
旅の226日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 アビスは今日も、断片的な言葉を発し続けていた。まだ意味は解明されていないが、その音の並びは徐々に複雑になり、まるで“記憶を語る準備”をしているかのように感じられる。彼の瞳の動きも昨日までとは違って... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 225日目
旅の225日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 アビスが覚醒してから一晩が経った。彼はまだ長い時間を眠るように静かに過ごしているが、意識の深い部分は確実に動き始めている。今日は昨日よりも明瞭な発声が何度かあり、同じ音列を繰り返すこともあった。... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 224日目
旅の224日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 ついに、その瞬間が訪れた。今日、アビスは長い沈黙を破り、“覚醒”したのだ。星系データと音声パターンを組み合わせた刺激実験を行っている最中、彼の脳波がこれまでにない急激な変化を示し、次の瞬間、彼はは... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 223日目
旅の223日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 アビスの記憶を探る試みは、今日も新たな局面を迎えた。昨日と同じ星系座標を中心に、空間構造を再構築して提示したところ、彼の反応はこれまでで最も劇的だった。映像が映し出されると同時に、呼吸が急に乱れ... -
宇宙船ノア・アルカ号 乗船日記 222日目
旅の222日目 – 日記地球歴2482年、星間暦元年 今日の観測で、アビスの反応はこれまでとはまったく異なる性質を見せた。あの星系のデータをさらに詳細化して提示すると、彼は目を細め、わずかに手を動かしながら低く長い音を発した。それは断片ではなく、意...
